第122章

片桐景真は末永言葉を末永家まで送り届けると、そのまま立ち去った。

「上がっていく?」とも言わず、言葉もまた招き入れなかった。

二人の距離は、これ以上近づけない。

もう一歩でも踏み込めば――末永言葉は、片桐景真という友人を失ってしまう気がした。

背を向けて、それぞれの道へ。

誰も振り返らない。

家の中へ入った末永言葉は知らない。

片桐景真が門を出たあと、長い時間その場に立ち尽くしていたことを。

後悔していた。

法的に結婚できる年齢になった時点で、言葉を妻にしていればよかった。

そうすれば、深沢承弦なんて男が入り込む余地など、どこにもなかったはずだ。

待った。譲ろうともした...

ログインして続きを読む