第16章 温水嬢を送り帰す

川島宴久は、壁にもたれている男を見て、眉間をきつく寄せた。

歩み寄ると、つま先でその靴先を軽く蹴る。

「深沢承弦。お前、自業自得だろ」

深沢承弦は壁に寄りかかったまま、目を半ば閉じている。反応はほとんどない。

川島宴久は半ば呆れ、半ば諦めたようにしゃがみ込むと、彼のポケットからスマホを抜き取った。

「電話して、事情だけでも聞いてやる。こんな夜中に女がひとり外にいるなんて――」

そう言いながら連絡先を開き、下までざっとスクロールする。だが、見つからない。

もう一度、最初から見直す。やはり、ない。

川島宴久はぴたりと手を止め、思わず深沢承弦を見た。

当の本人は、まだ壁にもたれたま...

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