第22章 家族のために

その一方、廊下の突き当たりで、一枚の扉が静かに開いた。

ベッドの背にもたれていた温水真雲は、物音に気づくなり、ぱっと目を輝かせた。

「承弦――」

呼びかけは、喉の奥で止まった。

入口に立っていたのは新谷言だった。

深いモスグリーンのドレスを纏い、髪はひとすじの乱れもなくきっちりと結い上げられている。

彼女はゆっくりと部屋へ入ってくる。

ハイヒールが絨毯を踏むたび、その一歩一歩が温水真雲の胸を直接踏みつけてくるようだった。

「おばさん……」

温水真雲は反射的に身を引いた。

「その呼び方はやめてちょうだい」

新谷言はベッド脇の椅子に腰を下ろした。

所作はどこまでも優雅なの...

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