第40章

「送っていく」

深沢承弦は彼女の手首を掴んだまま駐車スペースへと引いていき、拒む隙すら与えない。

「自分の妻を家まで送るのは、当然だろ」

その一言で、末永言葉の喉元まで出かけていた拒絶は、きれいに塞がれた。

――当然?

「でも……会社のほうが大事じゃ……」

それでも言葉は断ろうとした。だが男は容赦なく彼女を助手席へ押し込み、力加減は「拒否は受け付けない」と言わんばかりだ。

「何が大事かくらい、俺は分かってる」

バタン、とドアが閉まる。深沢承弦は反対側から乗り込み、エンジンをかけ、そのまま車列へ滑り込んだ。

道中、二人とも言葉がなかった。

深沢天佑の言葉が、呪いみたいに頭か...

ログインして続きを読む