第59章

「……この人、どういうつもり……。触らないでって言ったのに……」

末永言葉の理性は、今すぐ彼を押しのけるべきだと告げていた。

まだ真っ昼間だ。こんな温泉の中で、男とそんなことをする気なんてなかった。

突き放したい。なのに、突き放したくない気もする。彼に触れられると、不思議なくらい安心してしまうのだ。

今はもう、何も考えなくていい。

ただ彼に身を任せて、この先に来る甘い快楽を、自然に受け止めればいい――。

湯の熱はじわじわと増していくようで、水面はゆらゆらと揺れ、波紋が湯船の縁にぶつかってはまた返ってくる。

どれほど時間が過ぎたのか。

ようやく水面が静まり、末永言葉は男の胸に頬...

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