第61章

末永言葉がその言葉を口にするのは、今さら驚くことじゃない。深沢承弦にも、そこは分かっていた。

分かっているのと、受け入れられるのとでは話が別だ。

彼はもう、手放そうとしたことがある。だがその結果――耐えられなかった。

「結婚式が終わって三日目で、俺に離婚の話? 末永言葉、お前に心ってもんはないのか?! 結婚を何だと思ってる。遊びじゃねえんだぞ。勝手に離れたいなら離れるって、そんなの許すか!」

押し殺してきた負の感情が、堰を切ったように押し寄せる。

昨日まで、幸福は手のひらの上にあったはずなのに。

突然突きつけられた悪夢は、修羅場をくぐってきたはずの男からも、容赦なく冷静さを奪った...

ログインして続きを読む