第72章

きっとこのところ、自分を追い込みすぎたのだろう。身体が抗議している。

末永言葉がゆっくり立ち上がると、長島さんがすぐさま駆け寄って支えた。

「お嬢様、これで平気なわけないですよ。唇、真っ白じゃないですか。お魚のスープを煮てありますから、早く少しでも召し上がって。栄養つけないと」

さっき深沢承弦と話し込んで、思った以上に時間を取られた。気づけば夕食の時間はとっくに過ぎていて、胃の中は空っぽだ。

末永言葉はこめかみを押さえ、穏やかに頷いた。

ダイニングへ入った瞬間、濃い魚の香りと香辛料の匂いが鼻先をくすぐる。――なのに、言葉は思わず眉をひそめた。胃の奥が、ぐらりと波立つ。

……どうし...

ログインして続きを読む