第78章

どういうわけか今日は、胃の中がひっくり返るみたいに荒れていた。ようやく吐き気を抑え込んだと思った瞬間、今度はぐらりと眩暈が押し寄せる。

末永言葉は洗面台に両手をつき、眉間を何度も押さえた。片桐景真の言葉は耳に入っているのに、どう返すべきか考える余裕がない。

――むしろ、今この惨めな姿を見ているのが深沢承弦じゃなくてよかった。

「彼には知らせないで」

深沢承弦に知られたら、彼女はもう、逃げられない。

「……お前」片桐景真はさすがに動揺を隠せなかった。「そこまでして、なんで……」

たぶん彼は、末永言葉のことを分かったつもりでいたのだ。

愛し合っていたはずなのに離婚を選び、別れたあと...

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