第80章

末永言葉は結局、あの玉の腕輪を返せずにいた。

病室を出る前、おばあ様がわざわざ念を押すように言った。

「これから先、どうにもならないことがあったら、直接わたしのところへ来なさい。承弦に言ってもいい。絶対に一人で抱え込まないこと」

――まるで、深沢天佑と自分以外の全員が、二人の復縁を待ちわびているみたいだった。

そして当の男は、どこか機嫌がいい。

明らかに言いたいことがあるのだろう。けれど病室を出た途端、廊下の空気は相変わらず一触即発だった。

新谷言も深沢天佑も、どっちもどっちだ。二人とも顔を真っ赤にして怒鳴り合っていて、北川伊季だけが「自分は関係ありません」とでも言いたげに、面白...

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