第84章

末永言葉がさらに予想していなかったのは、深沢承弦がその一部始終を目撃していたことだ。

考えてみれば、女同士が取っ組み合いになっている横で、発端になった男が冷めた目で突っ立って見ている。しかも、お見合いの話を温水真雲に漏らした張本人――末永言葉は、すでに「現場」から離れている。

……さすがに不義理だ。

とはいえ、結局は温水真雲が自分で招いたことじゃないのか。

「お父さま、どんな反応だったの?」

末永言葉は男のあとをついて車の前まで来たが、乗り込まずに立ち止まった。

「自分が目をつけた二人の息子の嫁候補が、あなたの息子のために喧嘩したんだもの。むしろ、息子さんの魅力が証明されたってこ...

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