第86章

深沢承弦は結局、病院の件をそれ以上追及してこなかった。だが末永言葉の胸の底に沈む不安は、どうしても消えない。家まで送られても、彼を末永家の門の中へ入れようとしなかった。

さっきの言葉が効いたのか。深沢承弦は無理に押し通そうとせず、門前で足を止めることすらなく、そのまま車を出した。

言葉は窓辺に立ったまま、しばらく呆然とした。

――言いすぎた、だろうか。

窓を閉め、彼女はすぐに片桐景臣へ連絡を入れる。

「そっちの病院の受診情報……あの人、調べられないよね?」

受話器の向こうで、呆れたような笑いが漏れた。

「心配しすぎ。軍の管轄だぞ。機密のレベルが違う」

「深沢家がどれだけ力を持...

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