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第1章

里香の視点

片方の手が私の背中を支え、もう片方の手が膝の裏に回された。彼は大股で車を停めた方向へと歩き出す。

「和也」

私は声を潜め、身をよじった。

「降ろして」

彼は私を見ようともしない。足取りは安定しており、コートに落ちた雪の粒は瞬く間に溶けていく。

「動くな。落ちたらどうする」

私は唇を噛み、抵抗をやめた。

そばにいた誰かがスマホを取り出し、フラッシュが何度も光る。

私は顔を背け、見ないようにした。

彼は私を助手席に乗せ、ドアを閉めると、反対側に回って車に乗り込み、エンジンをかけようとした。

その時、窓ガラスが二度叩かれた。

憲弘だった。建物から出てき...

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