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第1章

里香の視点

「体育の授業でね、友達と追いかけっこしてて、一段踏み外して転がっちゃったの」

蓮は小さな手で身振り手振りを交えながら、付け加えた。

「何段も転げ落ちたけど、全然怖くなかったし、泣かなかったよ」

私は手を伸ばし、彼のおでこに触れた。――熱はない。

視線を上げ、窓際を見た。和也がそこに立っている。ダークカラーのコートを羽織り、顔には疲労の色が滲んでいた。

「蓮の検査結果が出た」

彼は口を開いた。

「軽い脳震盪だ。数日入院して経過観察になる」

私は頷き、視線を戻した。

蓮は私の手を握り、顔を上げる。

「ママ、僕平気だよ。頭が少しクラクラするけど、お医者さ...

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