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里香の視点

午後、私は車で仙葉家へ向かった。

居間では憲二がコーヒーを飲んでいた。物音に顔を上げ、カップを置くと、ふっと笑う。

「来たか。座れ」

注いでくれた一杯を受け取ると、憲二が尋ねた。

「蓮は? 今日は連れてくるって言ってただろ」

「迎えに行かせました」私は答える。「もうすぐ着きます」

憲二は小さく頷き、カップを持ち上げた。視線は窓の外へ。遠い昔を掘り返すみたいに。

「……あの子が二歳くらいの頃だ。よくここに来てた。丸っこくてな、まだ足元が危なっかしいのに、ローテーブルに手をついて一歩ずつ移動して。可愛かった」

憲二は短く笑った。

「一度、俺の蘭をな。鉢からごっそり...

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