第19話

和也の視点

テラスを吹き抜ける夜風が、急に数度冷たくなったように感じた。

俺はそこに立ち尽くしていた。胸の奥には焼け焦げるような鬱憤が蟠り、吐き出すことも、呑み込むこともできない。

苛立ち任せに蝶ネクタイを乱暴に引き緩め、グラスに残っていた酒を一気に煽った。

強いアルコールが喉を焼け付くように滑り落ちていくが、胸の炎は微塵も収まらない。

その場で数秒立ち止まり、強引に感情をねじ伏せる。スーツの乱れを整え、険しい顔のまま宴会場へと歩き出した。

テラスと宴会場を繋ぐ角を曲がった直後、向こうから人影が足早に飛び出してきて、あわや正面衝突するところだった。

「うおっ」

相手が短い悲鳴...

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