第28話

里香の視点

司の言葉が響き渡ると、ラボの空気がふっと凍りついた。

百合子はその唐突な気迫に気圧されたのか、顔の怒りを収める間もなく、視線だけを微かに泳がせた。

だがすぐに気を取り直し、司をきつく睨みつける。深く刻まれた皺がさらに寄り、声には一層の棘があった。

「法律? 九条さん、法律で縛れるのは契約書だけ、人の心までは縛れませんよ! 部外者のあなたがこの女にいいように丸め込まれているのは、この女の演技が上手いからじゃないの!」

「本当に潔白だと言うなら、あの写真はどこから出てきたの? あんな良からぬ噂がどうして広まったっていうの!」

彼女は勢いよく私へ向き直る。その目は刃のように...

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