第40話

里香の視点

病院の正面玄関を出ると、すでに黄昏がひっそりと降りてきていた。

車寄せの屋根の下に立ち、灰青色の空を見上げる。遠くの街灯が、ひとつ、またひとつと点り始めていた。

頭の中はまだぐちゃぐちゃで、思考が止まらない。

バッグの中でスマホが震えた。

取り出すと――画面には「桜」の名前が表示されていた。

二秒ほど呆然としてから、通話ボタンを押す。

「おばさん!」

小さな女の子の澄んだ声が、直接耳に飛び込んできた。

「明日、何の日か当ててみて!」

予想外の質問に、私は少し戸惑った。

「明日は……桜ちゃんの誕生日?」

「大正解!」

桜は弾むような声で言った。

「おばさ...

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