74

第1章

里香の視点

一哲は小さく頷くと、何かを値踏みするかのように、しばらく私の顔に視線を留めた。

一方、剛治は手を振って笑いかけた。

「座りなさい。そんなに畏まらなくていい」

私は再び席につき、心の中で密かにこの二人の力量を推し量った。

剛治はコーヒーを手に取って軽く啜ると、人当たりの良い笑みを浮かべて私を見た。

「白石さん、実は前からあなたのことに注目していたんだ。あのニューロン培養プロジェクトは、業界でもかなり話題になっているからね」

「どうにか連絡先を突き止めて、一度会う機会を作れないかと人に頼んでいたんだが――まさか治夫教授の教え子だったとはね」

彼は治夫のほうへ...

ログインして続きを読む