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第1章

里香の視点

会議が終わり、天際創研のビルを出た直後、スマホが震えた。

「外で待っている」和也の声は相変わらず平坦だった。「話がある」

顔を上げると、案の定、見慣れた黒のベントレーが路肩の停車スペースに停まっていた。

深く考えず歩み寄り、助手席のドアを開けて乗り込む。

車が車の波へと合流する。

車内はひどく静かだった。

和也は前を見据えたまま、一言も発しない。私も窓の外を飛ぶように流れる街並みを眺め、口を開こうとはしなかった。

彼の言いたいことは離婚に関することだろうと、予感はあった。

だが、いくら待っても隣の男が口を開く気配はない。

耐えきれず、こちらから切り出...

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