93

和也の視点

蓮を抱きかかえ、車に乗り込んだ。

エンジンをかけた途端、スマホが鳴った。

着信画面を一瞥し、蓮に声をかける。

「ちょっと待ってて」

ドアを押し開け、車の外へ出て電話に出た。

「母さん」

電話口の第一声から、すでに声のトーンが違っていた。

「ちょっとアンタ、里香さんと離婚するって本当なの?」

一秒だけ間を置き、単刀直入に答える。

「ああ」

わずかな沈黙のあと、母の声が急に跳ね上がった。

「頭おかしいんじゃないの? まさかあの寧々のため?」

「寧々は関係ない」

「関係ない?」

鼻で笑う音が聞こえた。

「ここ数年、アンタがずっとあの子とべったりなこと、私...

ログインして続きを読む