第129章 私に何の得がある

湯川優は伏し目がちになり、胸の奥からせり上がってきた「感動」と名付けられる感情を、ぎゅっと押し込めた。

自分が城田景行のところへ来た目的を、彼女はまだ忘れてはいない。

「その……説明は全部しました。だから、今ならこの人に連絡してもらえますか」

瞳には期待がいっぱいに灯っている。きらきらと、星河をそのまま湛えたみたいに。

城田景行の底の見えない瞳が、すっと二分ほど暗くなる。目尻には不自然な赤みが浮かび、声も低くくぐもった。

「俺がそいつと連絡つけてやったら、俺にはどんな得がある」

「ど、どんな得が欲しいんですか」

湯川優は左手で自分の右手をきゅっと握りしめ、その言葉を口にした瞬間...

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