第389章 私を満足させて

 一方そのころ、一階の客室には、肌にまとわりつくような艶めいた空気が濃く満ちていた。

 城田奈美纪は「力が入らないの」と弱ったふりをして、城田真志に浴槽まで抱え上げさせた。ところが、抱き留められた途端に腕を絡め、二度と離す気がない。

 城田真志は眉間に小さく皺を寄せ、辛抱強く言った。

「やめろ。離せ」

「嫌! 離さない! 私、今夜を越えたらどうなるか分かってる。あのクズ、絶対に私を見逃さない。明日からもう、あなたに会えないかもしれない……お願い、少しだけでいい、ここにいて。私のそばにいてよ」

 城田奈美纪は駄々をこね、どう言われても腕をほどこうとしない。

 今日、自分がしでかした...

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