第398章 会社で事件が起きる

湯川優は小さくうなずき、弾くよう促した。

同時に、彼女の履歴書へ視線を落とす。名前は沖川和奈。名の知れた大学を出ていて、経歴も申し分ない。かつては外資系企業の幹部だったという。

これほどの人材ならビジネスの世界でいくらでもやっていけるはずだ。それなのに、なぜ栄養士の面接に――。

湯川優の胸に、拭いきれない疑問が残る。

そのとき、耳元へふわりと流れ込んできたのは、伸びやかなピアノの音色だった。

穏やかで、澄んでいて、心地いい。沖川和奈の指先が鍵盤を舞うたび、湯川優は抗いようもなく音に引き込まれていく。

彼女は履歴書を閉じ、しばらくのあいだ真剣に聴き入った。半眼で沖川和奈を見つめ、や...

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