第432章 突如として訪れた優しさ

城田奈央はふん、と鼻で笑い、電話を切ったばかりのスマホをしまってホールへ戻ろうとした。振り向いた瞬間、少し離れたところに、いつからそこにいたのか城田拓海が立っているのが目に入る。

心臓が跳ねた。奈央は眉をひそめ、不機嫌そうに言う。

「ちょっと、なんで無音なの。声くらいかけなさいよ」

「お前こそ、何してた」

「別に何もしてないわよ。変なこと言わないで」

当然、奈央は認めない。

拓海は淡く笑うだけだった。

「お前は……あいつを甘やかしすぎだ」

奈央は即座に言い返す。

「私が甘やかさなかったら、あなた孫を抱けるの? あなたのためでしょ」

拓海は言い返せず、困ったように笑った。

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