第436章 恩愛夫婦を装う

「違う」

彼は短く否定し、淡々とした視線を沖川叶実へ向けた。

「俺たち夫婦はうまくいってる。お前に心配される筋合いはない」

叶実は息を詰め、そのまま黙り込んだ。ちょうどそのとき鳳山啓人がこちらへ来た。これで彼女も、城田景行と二人きりでいる必要がなくなる。

今日は城田景行が、J市にある提携会社の責任者と叶実を引き合わせる約束をしていた。食事は長引かず、終わると景行は鳳山啓人に彼女をホテルまで送るよう告げ、さらに念を押す。

「これからは用がないなら、俺に会いに来るな」

表情は薄いまま、笑みは一切ない。叶実の返事も待たず、景行は鳳山啓人へ目だけで合図すると、踵を返して店内へ戻った。湯川...

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