第442章 去るべきなのは私だ

「母さんに頼まれて、書類を届けに来たんです。これで合ってますか?」

湯川優は薄く笑っていた。声色にも、感情らしいものが一滴もない。

手元の封筒を城田景行へ差し出す。だが彼は受け取らず、ただ、視線を外さずに彼女を見つめた。

「……どうしたんですか? 違いました?」

城田景行はようやく手を伸ばし、書類を受け取った。けれど彼が何か言う前に、湯川優のほうが口を開く。

「渡しました。じゃあ、私は帰りますね。お忙しいでしょうし」

言い切るなり、くるりと踵を返す。次の瞬間、城田景行が前に出て、彼女の手首を強くつかんだ。陰るどころか、沈みきった顔で言う。

「下まで送る」

「大丈夫です。ひとり...

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