第62章 全てが原点に戻る

「きゃあ!」

 若林夢子はもともと後ろめたい気持ちを抱えていたため、城田景行の氷のような冷たい瞳と視線が合うなり、悲鳴を上げて数歩後ずさった。

 城田景行は目を開けたばかりで、その瞳には一瞬だけ迷いが見えたが、自分が病院にいると気づくや否や、即座に意識を取り戻した。

「……今、何をしていた」

 城田景行の声は低く、嗄(か)れていた。

 彼女の両手が自分の首にかかっていた感触が残っている。まさか、絞め殺そうとでもしていたのか?

「わ、私、マッサージをしてあげていたの。ずっと寝ていたから、体中が痛いでしょう?」

 若林夢子は最初こそ狼狽(うろた)えたものの、すぐに平静を装った。

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