第81章 彼女から匂いがする

若林夢子は泣けば泣くほど、自分が不当な扱いを受けているという思いを募らせ、湯川優に何らかの弁明をさせようと息巻いていた。

だが、湯川優には彼女にかまっている余裕などない。強烈な吐き気が胃を鷲掴みにし、こみ上げる嘔吐感は止まることを知らなかった。

「医者を呼んでくる」

城田景行は眉をひそめ、診察を受けさせようと決めた。

「だめ……! 大丈夫ですから、本当に」

湯川優は吐き気で立っているのもやっとの状態だったが、必死に城田景行の腕を掴み、彼を引き止める。

今まで必死に隠し通してきたのだ。子供の存在を知られないためにどれだけ苦労したか。今ここで露見するわけにはいかない。

若林夢子も当...

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