第87章 自らを救う

湯川優は助けを呼ぼうとした。だが、目の前の道路を行き交うのは猛スピードで過ぎ去る車列ばかりで、人通りはほとんどない。

自分の身に何が起きているのか分からない。ただ息をするのが困難になり、それに呼応するように、胸の内で恐怖が膨れ上がっていく。

(まさか、このままここで死ぬの……?)

生理的な涙が溢れ出し、頬を伝う。後悔している暇などなかった。彼女は無理にでも呼吸を整えようと自分に言い聞かせる。

何としても助からなければならない。お腹にいる赤ちゃんのためにも。

震える手でどうにかスマートフォンを取り出す。無意識に城田景行へかけようとしたが、先ほどの出来事が脳裏をよぎり、指が止まった。今...

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