第107章

三人称視点

 パーティーに参加する前、高木文弘はわざわざ愛梨を連れ出し、全身のメイクアップとスタイリングを完璧に施させた。

 化粧鏡の前に座る愛梨を、何人ものメイクアップアーティストが取り囲み、慌ただしく微調整を続けている。

 メイクはあくまで上品に、普段の高木愛美のスタイルに寄せること。それが文弘からの絶対の指示だった。

 派手で濃いメイクを好む愛梨の趣味とは、まるで正反対である。

 鏡の中の自分を見つめ、彼女は不満げに眉をひそめた。

「ここのシェーディング、もっと濃くしてよ!」

 自身の頬骨を指差し、アーティスト達に向かって金切り声を上げる。

「もっと立体的に見せたいの! 高級...

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