第12章

愛美視点

 セント・メアリー病院。

 あの男が姿を消した後も、私の胸にはざわつきが残っていた。

 ふと、近づいてくる足音に我に返る。

 白衣姿の中年男性がこちらへ向かって歩いてくる。

「愛美さんですね」

 彼は気さくに右手を差し出してきた。

「当院の院長を務めております、武田賢人と申します」

「セント・メアリー病院、ならびに患者に代わって、心よりお礼を申し上げます」

 私は慌てて立ち上がり、その手を握り返した。

 彼は私の青ざめた顔色を気遣うように見つめ、わずかに申し訳なさそうな色を声に滲ませた。

「大変お疲れのところ誠に恐縮ですが……もう少しだけ、あなたのお力をお借りでき...

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