第122章

三人称視点

 南川茜は便座に腰を下ろし、手に握った妊娠検査薬を瞬きもせずに見つめていた。

 五分が経過した。

 判定窓には、相変わらず赤い終了線が一本浮かんでいるだけだった。

「そんなはずない……」

 南川茜の手は、小刻みに震えを止められない。

 自身の身体に起きている変化は、はっきりと感じ取っていたのだ。

 昨晩の下腹部の痛み。そして、ここ最近ずっと続いている吐き気。間違いない、妊娠の兆候だ。

「絶対、壊れてるのよ」

 忌々しげに検査薬をゴミ箱へ放り捨てると、新しいパッケージを引き裂き、再度検査を試みた。

 結果は同じだった。

 妊娠、していない。

 南川茜は勢いよく立...

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