第156章

第三者視点

 夜明けが近づいていた。

 書斎の椅子に深く腰を下ろしていた高木一郎は、デスクの上で不意に振動したスマートフォンに冷ややかな視線を落とした。

 通話ボタンを押す。

「高木一郎様。現場の処理が完了いたしました」

 電話の向こうから、冷淡な殺し屋の声が響く。

「確実に自動車事故は起きました。ですが、死体が見つかりません」

「死体が見つからないだと?」

 一郎の動きがぴたりと止まった。

「はい。しかし、現場に残された血痕の量からして、重傷を負っているのは間違いありません。あの状況で生き延びる確率は極めて低いかと」

 一郎の瞳に陰惨な光が宿る。

「生きていようが死んで...

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