第162章

三人称視点

 全身を駆け巡る激痛。だが、悲鳴すら喉の奥で凍りついていた。

 地面に這いつくばり、激しく震える男。大輔を見上げる勇気など、微塵も残っていなかった。

 それは、ウェアウルフの遺伝子に刻み込まれた絶対的な服従。

 大輔は、足元に跪く男を氷のような目で見下ろす。

「金を出せ」

 極寒のように冷え切った声だった。

 スキンヘッドの男は震える手でポケットを探る。

 中に入っていたありったけの紙幣を、しわくちゃの少額紙幣まで残らず掻き集め、両手で頭上に高く掲げた。

 大輔は振り返り、背後の柚奈に視線を移す。

 眼差しの冷酷さは瞬時に掻き消え、いつもの従順な大輔へと戻っていた。...

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