第17章

第三人称視点

 高木文弘はその女の姿を目にした瞬間、ふと動きを止めた。

 内なる狼が咆哮を上げ、激しい共鳴を引き起こしたのだ。

 目の前に立つ女から漂うひどく懐かしい気配が、高木愛美の姿を思い起こさせる。

 だが、その装いや立ち振る舞いからすれば、彼女と高木愛美はまるで別次元の存在だった。

 艶やかなイブニングドレスから見事な鎖骨を覗かせ、ハイヒールから伸びる両脚は目を疑うほど完璧な曲線を描いている。

 高木愛美がこのようなパーティーに顔を出すことなどあり得ない。彼女はただ家の中に引きこもり、専業主婦として夫の帰りを待つだけの女だ。

 ――ただの錯覚に違いない。

 高木文弘は胸...

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