第21章

第三者視点

 高木文弘の車が、病院のエントランスに急停車した。

 彼はドアを乱暴に押し開け、もつれる足で病院内へと駆け込んだ。

 野口裕史がその背中を慌てて追う。

「アルファ、救急室は三階です!」

 高木文弘は階段へ一直線に向かい、段飛ばしで駆け上がっていく。

 心臓が破裂しそうなほど早鐘を打つ。脳裏には、血の海に倒れ伏す高木愛美の姿が何度もフラッシュバックしていた。

 死なせるわけにはいかない。

 絶対に、死なせてはならない。

 救急室の前に辿り着くや否や、高木文弘は扉を押し開けようと手を伸ばしたが、野口裕史に強く引き留められた。

「アルファ、お待ちください! 中はまだ救命処置...

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