第二十七章

高木愛美視点

 宴会場の扉を抜けると、冷たい風が雨の匂いを連れて頬を打った。

 息が詰まるような中の空気から解放され、ようやく肺の奥まで深く息を吸い込むことができた。

「高木愛美!」

 振り返るより早く、立ち塞がったのは高木文弘だった。激しく上下する胸、その両目には赤黒い怒りの炎が渦巻いている。

 傘も差さず、濡れた髪から滴る雨水が彼の広い肩を濡らしていた。

「説明しろ」

 地を這うような低い声。

「どうしてレッドストーン・シティにいる! 俺がどれだけお前を探したか、分かってるのか!」

 私は弾かれたように顔を上げ、目を丸くして彼を睨み返した。

 呆れて言葉も出ない。

 今さ...

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