第36章

病院から戻ってから、一晩中一睡もできなかった。

 平野綾子の言葉がずっと頭の中で渦巻いていた。

「子供はあんたの子よ。あの子は突き落とされたの」

 その言葉が俺をひどく苛み、頭が割れるように痛んだ。

 夜が明けた後、会社には行かず、スーツを脱いで袖をまくり、キッチンへと足を踏み入れた。

「お前たちは外に出ろ」

 朝食の準備をしていたシェフたちに命じた。

 彼らは驚き、どもりながら頷くと、道具を投げ出して逃げるように出て行った。

 誰もいなくなったキッチンに立ち、俺は少し呆然としていた。

 この手は銃や契約書を握るのには慣れているが、フライ返しなど持ったことがない。

 だが、以前高...

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