第39章

水瀬美和視点

 北条遥輝は私に嘘をついているのではないか――そう疑わずにはいられなかった。

 彼と付き合って三年。彼のちょっとした表情の変化やしぐさは、痛いほどよく分かっている。

 普段の彼は常にリラックスしていて、自信に満ち溢れている。まるで全てが自分の掌の上にあるかのように、彼を焦らせたり不安にさせたりする事象など、この世に存在しないかのようだった。

 だが今は違う。私を抱きしめる彼の手の筋肉は、硬く強張っていた。

 視線は無意識に私から逸らされ、指先も不自然に微かに震えている。

 加藤治郎が一歩前に出て、北条遥輝の言葉を裏付けるように口を開いた。

「美和さん、このクソ野郎は...

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