第四十三章

水瀬美和視点

 北条遥輝の姿を視界に捉えた瞬間、私の中でけたたましく警鐘が鳴り響いた。

 今の時期、彼は北米にいるはずじゃなかったの?

 どうして突然帰国して、こんな所にいるわけ?

 無意識に一歩後ずさりし、北条晃との距離を取る。

 すぐ先の場所に、見覚えのある黒のスポーツカーが停まっていた。

 半分ほど下がった窓ガラスの向こう——酷く陰鬱な顔つきと、その瞳に宿る明らかな怒りがはっきりと見て取れる。

 心臓が制御不能になったかのように、激しく早鐘を打った。

 必死に自分を落ち着かせ、私は北条晃に向かって嘘を並べ立てた。

「晃、ごめん。急に思い出したんだけど、今日このあと星菜と会う約...

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