第四十八章

高木愛美視点

 高木文弘がこのレッドストーン・シティにやって来てからというもの。

 私の生活は一見平穏なようでいて、水面下ではひたひたと不穏な変化が起きていた。

 月曜日の朝。教室で自分の机の椅子を引いたとき、私はふと違和感を覚えた。

 いつも座っていた硬い木製の椅子が、いつの間にか高価なエルゴノミクスチェアにすり替えられていたのだ。

 妊娠のせいで常に鈍痛を訴えていた腰が、嘘のように全く痛まない。

 周囲の学生達も小声でざわついていた。

「うちの大学、いつからこんなに金持ちになったんだ? この椅子、一脚千ドルは下らないぞ」

「それだけじゃないわ。医学部の設備が丸ごと最新の最上位モデ...

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