第56章

高木愛美視点

 再び目を覚ますと、私は高木文弘の腕の中にすっぽりと閉じ込められていた。

 彼の腕が私の腰にしっかりと巻きつき、顎が私の頭頂部に乗せられている。その規則正しく穏やかな寝息が、髪をそっと揺らした。

 彼の広い胸に身を縮ませる私の姿は、まるで本能的に温もりと庇護を求めているかのようだった。

 昨夜は一度も目を覚ますことなく、信じられないほど深く眠ってしまったらしい。

 その事実に気付いた瞬間、ぞっとした。どうしてこの男に対して、ここまで警戒心を解いてしまったのだろうか。

 拘束から抜け出そうと身をよじった途端、腰に回された腕がさらに強く引き絞られた。

「動くな」

 頭上か...

ログインして続きを読む