第63章

第三者視点

 けたたましい着信音が、高木愛美の思考を断ち切った。

「愛美、大変だ!」

 受話器の向こうから、菅原剛の切羽詰まった声が飛び込んでくる。

「実験室が荒らされた! 君の手稿が全部消えてる!」

 愛美は全身を硬直させた。

「え……っ!?」

 無我夢中で実験室へと駆け戻り、勢いよく扉を押し開ける。飛び込んできた光景に、彼女は完全に打ちのめされた。

 デスクの上は無残に荒らされ、綺麗にまとめられていたはずの手稿もデータ記録用のノートも、跡形もなく消え去っていた。

 ここ数ヶ月、血を吐くような思いで積み上げてきた研究成果のすべてだった。

 膝から力が抜け、愛美はそのまま椅子に崩...

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