第76章

三人称視点

 パーティーの前日、愛美はゴールデンムーン・パックへと帰還した。

 野口裕史が手配した高級マンションには目もくれず、彼女はまっすぐに平野綾子の家へと向かった。

 愛美の顔を見るなり、平野綾子はどこか強張った表情を浮かべた。

「愛美、丸山大翔との件……どうなったの?」

「彼から全部打ち明けられたわ」

 愛美の声は、驚くほど凪いでいた。

「喧嘩にもならなかった」

 その言葉に、平野綾子はふうっと長い安堵の息を吐き出す。

 よかった。丸山大翔のやつ、ちゃんと私のアドバイス通りにすべてを話してくれたのね。

 これで厄介な嘘の片棒を担ぐことも、親友を案じて心をすり減らすこともな...

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