第七十七章

三人称視点

 パーティー会場は喧騒に包まれていたが、耳を刺すような甲高い嘲笑の数々が、南川茜の鼓膜に不快にこびりついていた。

 フロアの片隅に立ち、トレイを掲げたウェイターが丸山大翔の方へと歩いていくのを見つめながら、彼女は思わず冷笑を漏らす。

 丸山大翔があのグラスを拒むはずがない。何しろそれは、「愛美」が彼のために用意した酒なのだから。

 茜は安堵したように踵を返し、二階のゲストルームへと足を踏み出した。

 笑い者にされたこの忌々しいドレスを着替え、あとは最高のショーの幕開けを待つだけだ。

 *

 一方、宴会場の反対側に立つ高木文弘は、愛美から一瞬たりとも目を逸らすことができ...

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