第80章

第三人称視点

「あり得ない」

 丸山大翔の顔から、すっと笑顔が消え失せた。

 眉根を寄せ、不服そうに口を開く。

「あのウェイターは、はっきりとこう言ったんだ。『愛美さんからの贈り物です』って」

 愛美はますます首を傾げた。自分から酒を贈るなど、絶対にあり得ないからだ。

「ごめんなさい、丸山大翔。きっと何かの誤解よ。そのウェイターの勘違いじゃないかしら」

 愛美の頭の中は、ぐちゃぐちゃに掻き乱されていた。

 誰かが自分の名前を騙って、丸山大翔に酒を贈ったというのか。

 だが、一体何の目的で?

 ただ、医者としての本能から、愛美は真っ先にひとつの可能性に行き着いた。

「丸山...

ログインして続きを読む