第84章

深夜、高木グループのビル。

 南川茜は精巧な作りのバースデーケーキを提げ、ロビーへと足を踏み入れた。

 愛美と南川茜の件があり、高木文弘は今、間違いなく感情のどん底にいるはずだ。茜にとって、これは絶好のチャンスだった。

 十二時を過ぎれば、高木文弘の誕生日になる。

 誰よりも早く彼を祝えば、きっと心動かされるに違いない。

 彼女は受付へ歩み寄り、傲慢な態度で受付嬢に命じた。

「高木文弘に会いたいわ。取り次いでちょうだい」

 だが思いがけず、受付嬢は彼女の要求をはねのけた。

「申し訳ございません、南川さん。上へはご案内できかねます」

「はあ!?」

 茜は眉をひそめ、極限まで顔をしか...

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