第88章

 理性を完全に失った古川英治は、再び高木愛美へと襲いかかろうとしていた。

 そのとき、高木文弘が飛び出した。瞬時に狼へと姿を変え、凄まじい衝撃とともに突進する。

 鋭利な爪が、古川英治の背中を容赦なく引き裂いた。

 古川英治は苦痛に満ちた遠吠えを上げたが、アルファウルフの敵ではない。

 高木文弘はそのうなじに深く牙を立て、身動き一つ取れないよう地面にねじ伏せた。

 数名のボディガードが、高木文弘の後に続いて駆けつけてくる。

 そのうちの一人が鎮静剤を握り締め、隙を突いて古川英治の首筋へ勢いよく注射器を突き立てた。

 十秒後。古川英治は糸が切れたように地面へ崩れ落ち、意識を失って人...

ログインして続きを読む