第八十九章

三人称視点

 高木愛美は病室のドアを押し開け、中へと足を踏み入れた。

 ベッドの上では、胸に分厚い包帯を巻かれた丸山大翔が上体を起こして寄りかかっていた。

 彼女の姿を認めるなり、丸山大翔の顔に弱々しい笑みが浮かぶ。

 高木愛美がベッドの傍らに歩み寄ると、その目頭はたちまち赤く染まった。

「丸山大翔、次はもうこんなことしないで。もしあなたが死んでいたら……私はムーンリバー・パックの罪人になるところだったわ」

 丸山大翔は微かに眉をひそめる。

「君が危険な目に遭っているのに、黙って見過ごせるわけないだろう? 心配するな、俺は大丈夫だ」

 高木愛美はうつむき、胸の奥を激しい罪悪感で...

ログインして続きを読む