第9章

高木愛美視点

 それは私によく馴染んだ、欲望と独占欲に満ちた瞳だった。

「離して!」

 私は彼の手を振り払い、逃げるように布団へ潜り込んだ。

 高木文弘がバスルームへ消えるのを見届けて、ようやく深く息を吐き出す。

 十分後。バスルームから姿を現した高木文弘は、上半身裸だった。

 私は天井を凝視したまま、全身を石のように強張らせる。

「高木愛美」

 不意に彼が口を開いた。その声は酷く低く沈んでいる。

「芝居なら、最後まで完璧にやれ」

 私は弾かれたように彼を睨みつけた。

「どういう意味?」

 彼の瞳に浮かぶ明らかな嘲弄の色。

「お前、いつもベッドの上じゃよく鳴くじゃないか。ほら、...

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